認知症の診断について

日付や曜日の感覚があまりない。
約束したはずの事を忘れてしまう。
しまった場所を忘れて、探し物が増えた。
買い物に行っても、同じものを買ってきてしまう。

こういった物忘れは正常加齢によるものなのか、認知症によるものなのか、一見しただけではわかりません。

当院での認知症診断の流れ

  • 医師による問診
  • 心理検査

をまず行い、精密検査が必要と判断された場合には、画像検査(頭部MRIなど)で脳の状態をチェックします。

当院は

  • メディカルスキャニング(東京を中心に15か所以上のクリニックを持つ画像診断専門クリニック)
  • 東京ベイ浦安市川医療センター 放射線科

と提携しており、速やかに画像診断を行うことが出来る体制を整えています。

認知症と言っても、原因は様々です。

  • アルツハイマー型認知症(脳が病的に委縮することによる認知症)
  • 脳血管性認知症(小さい脳梗塞がたくさんできていたり、血流が悪くなっていることによる認知症)
  • 正常圧水頭症(脳に水が溜まってしまうことによる認知症で、外科手術で改善する)

など、多くの原因があり、各々治療法・対処法が異なります。
そのため、画像診断で認知症のタイプを判定する事は今後の方針を決めるうえでも重要になってきます。
各疾患の特徴など、詳しくは、対象疾患・対象外疾患のページをご覧ください。

受診希望の場合には

通常通り、お電話で当院の初診予約をお取りください。
受診の際には、出来る限りご家族の同伴をお願い致します。

 

軽度認知機能障害の検査について

軽度認知機能障害(MCI)とは

記憶障害の訴えが本人もしくは家族からあるにも関わらず、日常生活には異常がなく、全般的な認知機能は正常な状態でまだ認知症との診断は出来ない状態を指します。認知症の前段階と考えられています。
この時期に適切な治療、早期介入をした場合、認知症の発症を予防したり遅延させたりすることが出来ると言われています。逆に、この状態で放置した場合には、高確率でアルツハイマー型認知症へと発展していくと考えられています。
当院では、軽度認知機能障害(MCI)に対しての検査も行っています。

MCI早期診断の為には

認知症の診断には、前述のとおり、問診や心理検査、頭部MRIなどを用います。
しかし、これらの検査は、ある程度認知機能低下が進行していないと異常が検出しづらいという問題点があり、MCIを診断する検査は実質無いのが現状でした。
しかし、近年、血液検査で簡便にMCIのスクリーニングをする検査や、遺伝子解析によって認知症のリスクを判断する検査が出来るようになってきました。検査の詳細は以下の通りです。いずれも自費(保険外診療)にはなりますが、ご興味のある方は、受診の上、医師にご希望をお伝えください。

MCIスクリーニング検査

検査代金

自費診療(保険外診療) 22,000円

検査方法

1回10cc程度の採血による簡単な検査です。

検査の原理

アルツハイマー病は、発症する20年近く前から原因物質である「アミロイドベータペプチド(Aβオリゴマー)」が脳内に少しずつ蓄積することで起こります。
アミロイドベータペプチドは、神経細胞にダメージを与え、記憶や認知機能を担うシナプスを障害すると言われています。
これによって障害を受けたシナプスの状態が病気の進行に関係していると言われています。
健常状態ではアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドベータペプチドは、脳内から脊髄液を介して血液に排出されます。
私たちの体にはこれが脳内に蓄積しないよう排除する仕組みなどが備わっており、この仕組みには脂質代謝に関連する「アポリポタンパク質」や免疫機能の「補体タンパク質」が関係しています。
MCIスクリーニング検査は、3つのタンパク質の量とその数学的な解析によりMCIのリスクを判定します。
アルツハイマー病とMCIで血液濃度が変化する3つのタンパク質マーカーを組み合わせ、統計的手法で認知機能障害への程度を推定するものです。
この3つのタンパク質は、アミロイドベータペプチドを脳内から排除し、その毒性を弱める仕組みに関わっており、アルツハイマー病やMCIの患者はその数値が低下します。
これらタンパク質の機能の低下は、結果的に認知機能障害につながると考えられます。

開発の経緯

筑波大学准教授である内田和彦が代表を務める株式会社MCBIと、認知症研究の第一人者として知られる朝田隆教授(筑波大学教授)との共同開発の成果です。7割以上の高い感度があり 、スクリーニング検査としてとても効果的です。

ApoE遺伝子検査

検査代金

自費診療(保険外診療) 17,600円

検査方法

1回10cc程度の採血による簡単な検査です。
申し込み時に遺伝子検査の同意書が必要になります。

検査の原理

アミロイドベータペプチドの蓄積に大きく関わっているとされているのが、ApoE遺伝子のタイプです。
遺伝子のタイプはε(イプシロン)2、ε3、ε4が2つ一組で6パターンの遺伝子型を構成しており、本検査ではどのタイプの遺伝子を有しているかを判定しています。
最も遺伝的なリスクの高いタイプでは最大12倍程度アルツハイマー型認知症のリスクが高くなると言われています。

検査を希望される方は

まずは、通常通り当院の初診をお取りください。症状をお聞きして、MCIの検査を受ける適応があると判断された場合には、検査の予約をさせていただきます。
ただ、既に症状から認知症まで進行していると考えられる場合には、問診によるスクリーニング検査を行うと共に、提携先の病院や画像診断専門のクリニックにて必要な画像検査を施行し、診断を行わせていただきます。
何卒ご了承下さい。